「失敗恐怖社会」。

現代の日本を例えると、こんな一言になるかもしれません。

もともと恥の意識が強いと言われるのが日本人です。それが、SNSの進化もあり、もはや失敗を極端に怖れる社会＝「失敗恐怖社会」と呼ぶべき状態になってきています。

高校生の子供を持つ母親からこんな相談を受けました。

「高校生の男の子がいます。なんでも相談してくるのでけっこう大変でして」

「どんなことを相談されるのでしょう？」

「恋愛の話や、性的な話なども相談してくるので、対応に悩んでます」

「えー！そうなんですね！私の高校時代なら、親には絶対相談はせず、友達にしか話さない内容ですね！母親に全部しゃべっちゃうって驚きです」

すると、

「うかつに友達に悩みを相談すると、あっという間に仲間内のSNSで広がってしまうらしいんです。だから親にしか言えないと言っていました」

びっくりしました。
現代は、友だちに相談できないのか。
そもそも悩みを相談できない相手を果たして友達と言えるか。

背景をきくと、問題の息子さんが高校生になった頃は、リアルの授業がなくてオンラインの授業ばかり。
そこではおそらく雑談が足りていなかったのです。
雑談がなければ、本音を相談できるような友人関係も築けないでしょう。

オンラインのつながりが中心だと、失敗を怖れて発言をしない人が増えるのも当然でしょう。社会的にも、昔に比べたらリスクが大きいので、人間関係で失敗しないように緊張している人も多くなっているのです。

まさに失敗恐怖社会です。

雑談の重要性が、私の想像以上にますます高まっているとも感じました。

安心できる関係を築くには雑談が不可欠です。
ちょっとした雑談で相手の価値観を知り人柄を知ることで、本音を伝えていい相手、悩みを打ち明けていい相手だとわかります。

雑談が苦手な人は、

「素のままの自分をさらけ出すのは恥だ。さらけだしたら嫌われる」
そんな思い込みを持つ人が多いです。
この「恥」を乗り越えることが、不可欠です。

●恥を乗り越える

雑談が苦手な人は傷つくのを怖れて、自分を閉ざしている人が多いです。その代償はとても大きいです。深い信頼関係が築けないと薄いつながりの人間関係になりがちです。

自分が恥だと思っていることを、外に対して口をつぐめばつぐむほど、恥は心の中で膨らんでいきます。

「人生を豊かにする方法を一つだけ紹介してくれ」といわれたら、

「自分の心の闇にある恥と向き合い、恥をさらすことです」だと思います。

間違える不安。
見くびられる不安。
自分は劣っているという不安。

このような不安を抱えていることを恥だと思っている人は多いです。

輝いている他の人を見ていると、そんな不安を持っていることなど、微塵も感じないかもしれません。
ですが、強そうに見える人も、不安と闘っています。
恥に対して挑戦していくことが雑談上手への一歩です。

失敗しないし、ミスをしない。
つまり恥をかかないという完璧主義を目指すのは、他人からの称賛を追求する人生になります。

しかし自分とは別の人になる必要はなく、自分に戻っていくために、この本は役に立つでしょう。

この本では、仕事での成功はもちろん、パートナーシップの関係構築や、人生をよりよく生きて抜いていくためのスキルをまとめました。
この本であなたが自分らしさを取り戻し、人生の主導権を他人から自分に引き戻し、本来のあなたなることを願っています。